振り返り

僕の人生を順に辿ろう。

 

僕のいちばん古い記憶は…自転車。自転車から落ちた記憶だ。僕には2つ上の姉がいて、母は幼稚園まで迎えに行った。僕を自転車のチャイルドシートに乗せて。走行中、何かの拍子で自転車が倒れてしまった。僕は投げ出されて、頭を打った。泣いてる自分の顔を真正面から見てるような… 変な記憶だ。それが最初の記憶。

 

幼稚園生の僕は可愛かった。人生の絶頂期といって間違いない。水筒に貼っていたポケモンシールが次々無くなっていた…犯人は誰だったろう。それと、昼休みに女の子が誘ってくれた大縄跳びに行かなかった。積み木で殴られた。良い記憶が多い。工作博士だった。昼休みに、メリーゴーランドやびっくり箱など、沢山作った。絵にも自信があった。それらがとても好きだった。僕は間違いなく愛されていた。

 

小学校に入ってからは、不安なことが多くなった。先生も厳しくなった。勉強は、塾に通っていたので得意だった。絵も沢山描いた。が、上手くいかないことも多かった。徐々に口数を減らしていった。理由は不明だ。友達も少なくなって、高学年では孤立していた。昼休みには、教室で児童小説を読んだ。小難しいSFの本も面白かった。本を読む以外には、1人校内を彷徨い歩いていた。とにかく退屈だった。

 

中学校に入って、世界はより恐ろしくなった。生徒はより意地悪になり、攻撃的になり、訳の分からない言語で話した。僕もキャラ変をしようと試み失敗をした。イジメがあった。ついに来たか、と思った。耐えた。それは3年生で収まった。本当に幸運なことだ。絵には相変わらず自信があった。美術の授業が好きだった。受験先の高校は、迷わず芸術科を選んだ。楽に受かった。どこに行っても僕がいちばん上手かった。こうして中学を去った。

 

高校に入学した。早朝に家を出て、夜遅くに帰宅。ハードな毎日が待ち構えていた。帰宅部を続けていた僕が耐えきれる訳がなかった。玉砕の果てに、高校を転学した。今も癒えない心の傷だ。通信制高校に転学した。家族で田舎に引っ越した。僕は怠惰な日々を過ごした。

 

何も起こらず3年生になった。僕には絵しか残されていなかった。そうして、また絵の道へと戻って行った。美大を目指すも受験失敗に終わった。親の勧めもあり、通信制美大に進学。夏に上京した。知り合いもおらず、ひたすら孤独な毎日だった。2年の春、学習会に参加した。知り合いが増え、久方ぶりに友達も出来た。文章に少し自信が出てきた頃だ。イラストの練習を始めた。ジムにも通い体を鍛えた。2年の一人暮らしを終え、再び実家で暮らすことを選んだ。妹の冷たさもあり、苦悩の日々を過ごした。世界にたった1人だと感じた。

 

やがて成長志向が高まり、自己啓発に傾倒した。その末に、若者向け啓発プログラムに参加。東南アジアで見知らぬ大学生達と10日間を共にした。帰国後1ヶ月は物凄い効力を発揮した。あの頃は本当に無敵だった。緊急事態宣言により、予定していたリゾートバイトをやむ無く中止した。自宅での生活は、自分を徐々に怠惰に戻していった。焦りや不安から、少しずつ精神を病んでいく。気づけば秋になっていた。バイトを始めた。ミニシアターに映画を観に行くようになった。

 

家を出なければという思いに駆り立てられ、山陰で住み込みバイトを始めた。辛い日々を過ごした。1人で食べて行きたいと思うようになった。1ヶ月の間耐え凌ぎ、駆け込むように実家に戻った。クリスマスや誕生日を、家族と共に楽しく過ごした。年末年始は、大学の課題に振り回された。

 

 

そうこうしているうちに、1月も半ばだ。もうすぐ大学の4年目が終わる。何も持っていない。不安だ。